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『にっぽんのかみさまのおはなし』 いずもい あき
![]() | にっぽんのかみさまのおはなし いずもい あき (1999/10) 産経新聞ニュースサービス この商品の詳細を見る |
子供達の通うオーストラリアの公立学校では、週に一回宗教の時間がある。初め、いくつかの宗教に分かれて授業を行うと聞いて「神道は無理だけど仏教はあるのかな?」と思ったのは甘かった。多民族国家ではあるが国としての宗教は「キリスト教」。永住権をもらうときにも、聖書の上に手を置いて誓いの言葉を述べるという国なのだから。基本的には英国教会で、ほとんどの生徒がそのクラスに行く。カソリックやバプティスト、エホバなといくつかのキリスト教系宗派が、別のクラスを与えられる。それで終わりだ。イスラム、ユダヤ、ヒンズー、仏教、神道などにクラスは用意されていない。もちろん、宗教の自由が保障されているから、どのクラスにも参加しないという選択肢がある。
宗教の授業に参加しない子供は、自由時間となり遊んでいてもよいことになっている。普段、自由時間だというと大喜びの下の子は、なぜかこの時間は「本を読む。」と言って、しばしば『にっぽんの かみさまの おはなし』を持っていく。誰からも「日本の宗教の勉強をしなさい。」と言われたわけでもないのに。
『にっぽんの かみさまの おはなし』は、日本画家の出雲井晶さんが描かれた絵本である。文字の読めない子供でも、何度か読んでやれば絵を見て思い出し、楽しむことができるだろう。
誰もが知っているあまてらすさまのお話や、やまたのおろち、いなばのしろうさぎなどのお話を織り交ぜながら、神様の系譜が語られていく。いざなみ・いざなぎさまの生み出した、あまてらすさま・すさのおさまの姉弟、その孫の世代のおおくにぬしさまやににぎさまが地上におりていらして、ににぎさまの子供がうみさち・やまさち。神様達はみな繋がっていることがわかる。そして
このように おそらの しあわせのかみの こどもが
やまのかみの こどもと けっこんして
その こどもは うみのかみのこと けっこんして
と いうことが
くりかえし つづいてきて
あなたが いま ここに いるのですよ。
だから あなたは しあわせの くにの
しあわせの こども なのです。
と結んでいる。神様の系譜は、私たちに繋がっていたのだ。
こちらに来てキリスト教の話を聞く機会が増えたが、いろいろと聞いてみると神道との違いはここだと思う。キリスト教の神は人間とは切り離された全知全能の唯一神だが、日本の神々は私たちの祖先なのだ。
うちの子達は、祖父母や曾祖父母のことを聴くのが大好き。時には「おばあちゃんの、おばあちゃんの、おばあちゃんて、どんな人だったの?」と尋ねて、私を困らせる。この本には、そのまたおばあちゃんの、おばあちゃんの・・・・と辿っていった先の人達のことが書いてある。そう思って読んでいるのかもしれない。
※日本の神様関連のお勧めサイト
◇古事記を愛し神々のことを熱く語るMerge Voicesさんの「古事記と日本人」シリーズ
◇神道や人生のことををわかりやすく教えてくださる田舎の神主の学び舎さん
◇出雲井晶さんの「日本の神話」伝承館HP 出雲井さんの描かれた神話の絵を見ることができます。
絵本では物足りない子供、日本の神話初心者の大人にはこちらがお勧め。
25件のコメント
[C583]
- 2006-08-27
- 編集
[C584] 近代史の認識が足りないし、古代史も大切!
何故か戦後の(付け焼刃的)歴史家達は、日本の神話(=古代史)を無碍にしているような気がしてなりません。
子供に神話を伝える事、大切ですね。
子供に神話を伝える事、大切ですね。
- 2006-08-27
- 編集
[C585] 私のブログを紹介してくださって、ありがとうございます。
>日本の神々は私たちの祖先なのだ。
おっしゃるとおり!
これって、ものすごく、幸せなことですよね。どんどん「古事記」や「日本書紀」を読んで、幸せを噛み締めましょう。
おっしゃるとおり!
これって、ものすごく、幸せなことですよね。どんどん「古事記」や「日本書紀」を読んで、幸せを噛み締めましょう。
- 2006-08-27
- 編集
[C589] 拙ブログをご紹介下さって有難う御座います。
なんだか少し照れくさいですね。(苦笑)
「神道」の方はある程度、専門的に(当たり前かも知れませんが)勉強しており、多少のことはご説明申し上げることも出来ましょうが、「人生」は私自身も試行錯誤・・・苦戦の連続です。(笑)
この本の内容、素晴らしいですね。
特に結びの
>だから あなたは しあわせの くに>の
>しあわせの こども なのです。
この部分。
子供達が私達の祖先に、ルーツに、それを育んでくれたこの「日本」という国の土壌に「誇り」を持てる感じがします・・・。
私ももっと良い文章を、私達の子供達に残していけるように、もっと、もっと勉強せねばなりませんね。
有難う御座います。
「神道」の方はある程度、専門的に(当たり前かも知れませんが)勉強しており、多少のことはご説明申し上げることも出来ましょうが、「人生」は私自身も試行錯誤・・・苦戦の連続です。(笑)
この本の内容、素晴らしいですね。
特に結びの
>だから あなたは しあわせの くに>の
>しあわせの こども なのです。
この部分。
子供達が私達の祖先に、ルーツに、それを育んでくれたこの「日本」という国の土壌に「誇り」を持てる感じがします・・・。
私ももっと良い文章を、私達の子供達に残していけるように、もっと、もっと勉強せねばなりませんね。
有難う御座います。
- 2006-08-27
- 編集
[C591] 先祖
昔読んだ本で、和尚が子供達にどうして人を殺してはならないのかと、解く場面があります。
君達は何処から生まれたのか?子供達がお父さんとお母さんの間から生まれたと答えると、和尚は更に「では君達のお父さんとお母さんは何処から生まれたのか?」更に君達のおじいちゃんおばあちゃんは・・・と、そのルーツをたどると、君達がこの世に生を受けるまでに、限りなく先祖から血を貰いでるのだから、その命を粗末に扱ってはならないし、また、簡単に人を殺めてもいけない。命を途絶える事は、先祖が途絶えることで、それは悲しい事なんだよと子供達に教える場面があったのですが「にっぽんのかみさまのはなし」を読んで、昔読んだ本を思い出しました。
君達は何処から生まれたのか?子供達がお父さんとお母さんの間から生まれたと答えると、和尚は更に「では君達のお父さんとお母さんは何処から生まれたのか?」更に君達のおじいちゃんおばあちゃんは・・・と、そのルーツをたどると、君達がこの世に生を受けるまでに、限りなく先祖から血を貰いでるのだから、その命を粗末に扱ってはならないし、また、簡単に人を殺めてもいけない。命を途絶える事は、先祖が途絶えることで、それは悲しい事なんだよと子供達に教える場面があったのですが「にっぽんのかみさまのはなし」を読んで、昔読んだ本を思い出しました。
- 2006-08-27
- 編集
[C592] 神様
子供の頃私も神話が大好きで、祖父母に昔の話を聞くのも大好きな子でした。
毎朝、神さま、仏さまに炊きたて一番のご飯を上げ手を合わせていたな~と思い出しました。
我が家の子供達は家にどちらもおまつりしてなかったので、そんな経験がありません。
でも、そういうのって大事だな~と今になって思っています。
毎朝、神さま、仏さまに炊きたて一番のご飯を上げ手を合わせていたな~と思い出しました。
我が家の子供達は家にどちらもおまつりしてなかったので、そんな経験がありません。
でも、そういうのって大事だな~と今になって思っています。
- 2006-08-28
- 編集
[C594] この本から始めよう
昔、『古事記』を読んで、とても面白くて、もっと日本の神様のことを知りたいと思いました。
でも、こういう風に心に直接訴えかけられたのは初めて!
いま、ビックリしてジーンとしてます。
でも、こういう風に心に直接訴えかけられたのは初めて!
いま、ビックリしてジーンとしてます。
- 2006-08-28
- 編集
[C597] >Mergeさん
古事記とか神話って難しいと思われているけれど、Mergeさんのブログを見て、古事記ってとても人間的だし、活き活きとした描写がたくさんあるのだなぁと気づきました。ありがとうございます。
- 2006-08-28
- 編集
[C599] >田舎の神主さん
>この本の内容、素晴らしいですね。
>子供達が私達の祖先に、ルーツに、それを育んでくれたこの「日本」という国の土壌に「誇り」を持てる感じがします・・・。
私もそこのところが心に響いてきて、皆さんに紹介したいなぁと思ったのです。出雲井さんも、そういうことを伝えたくて神話の絵を描き続けられていて、大人向けの本も出されているようです。
>子供達が私達の祖先に、ルーツに、それを育んでくれたこの「日本」という国の土壌に「誇り」を持てる感じがします・・・。
私もそこのところが心に響いてきて、皆さんに紹介したいなぁと思ったのです。出雲井さんも、そういうことを伝えたくて神話の絵を描き続けられていて、大人向けの本も出されているようです。
- 2006-08-28
- 編集
[C600] >ちさとさん
説得力のある良いお話ですね。
>命を途絶える事は、先祖が途絶えることで、それは悲しい事なんだよ
本当にその通りですね。今は昔に比べて「先祖」とか「子孫」という概念があまり意識されていなくなった気がします。
>命を途絶える事は、先祖が途絶えることで、それは悲しい事なんだよ
本当にその通りですね。今は昔に比べて「先祖」とか「子孫」という概念があまり意識されていなくなった気がします。
- 2006-08-28
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[C601] >マリリンさん
祖父母の話、私も好きでした。同じ時代のことでも、本やTVで聞くのとは全く違う親近感があって、とても興味がわくんですよね。
うちも神棚や仏壇がないので、子供達も拝むのは祖母の家に行ったときだけなのです。
うちも神棚や仏壇がないので、子供達も拝むのは祖母の家に行ったときだけなのです。
- 2006-08-28
- 編集
[C602] >失敗だらけだフニャさん
他のコメントにも書きましたが、出雲井さんは、この訴えかけを大変重視していて、大事なことだからきちんと伝えて行かなくちゃという思いで作品を作られているようです。
出雲井さんの絵を見られる「日本の神話」伝承館というのがあります。HPでもいくつか神話の各場面の絵を見ることができます。
http://www.kenshuzaidan.jp/densyo.html
記事にもこのアドレス追加しておきますね。
出雲井さんの絵を見られる「日本の神話」伝承館というのがあります。HPでもいくつか神話の各場面の絵を見ることができます。
http://www.kenshuzaidan.jp/densyo.html
記事にもこのアドレス追加しておきますね。
- 2006-08-28
- 編集
[C605]
私は”最近の若者にありがちな日本国民”なので、神道・仏教とされる日本に暮らしていても宗教に寄り添った日常は送っていません。
キリスト教についても常識も怪しいとの自己認識、『ダヴィンチ・コード』を読んだりして「なんだかなー;」なんて勝手な感想を持ったりとか・・・。
でも。子供が「神様が・・」と言う時の透き通った目をみると、優しい気持ちで「神様」という存在を信じたいなと思います。
お話としての神話は子供の頃から大好き。星座からギリシャ神話のお話を読んだり・・・。日本の物は大学に来てやっと手に取ったけど、解り難かったけど(笑)、『古事記』の授業大好きでした^^
キリスト教についても常識も怪しいとの自己認識、『ダヴィンチ・コード』を読んだりして「なんだかなー;」なんて勝手な感想を持ったりとか・・・。
でも。子供が「神様が・・」と言う時の透き通った目をみると、優しい気持ちで「神様」という存在を信じたいなと思います。
お話としての神話は子供の頃から大好き。星座からギリシャ神話のお話を読んだり・・・。日本の物は大学に来てやっと手に取ったけど、解り難かったけど(笑)、『古事記』の授業大好きでした^^
- 2006-08-28
- 編集
[C606]
>「日本の宗教の勉強をしなさい。」と言われたわけでもないのに。
やっぱり、日頃のmilestaさんのお子さんに対する接し方の賜物ではないかと…
それから、多くの本がある環境も良いのではないかと思います。
良いですね。
やっぱり、日頃のmilestaさんのお子さんに対する接し方の賜物ではないかと…
それから、多くの本がある環境も良いのではないかと思います。
良いですね。
- 2006-08-28
- 編集
[C607] >きゆさん
私も外国に住むまでは、宗教なんてあまり意識したことがなかったんです。でも、他国の人から「宗教は何?」と聞かれることが多いのと、他の宗教の話を聞くとやはり日本のことと比較するんですよね。それで、関心を持つようになりました。
- 2006-08-28
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[C608] >刀舟さん
下の子は特に日本に対する思い入れが強いというか、日本に誇りを持っているというか、日本のことを少しでも悪く言われたりすると、落ち込んじゃったり怒ったりして大変なんです。それならもっとちゃんと日本語勉強してよ!と思うんですけどね。(笑)
日本語の本は家に無ければ町中どこに行っても無いですから、置いておくしかないんですよね・・・。図書館で借りたりできる環境がうらやましいです。
日本語の本は家に無ければ町中どこに行っても無いですから、置いておくしかないんですよね・・・。図書館で借りたりできる環境がうらやましいです。
- 2006-08-28
- 編集
[C609] うちは
真言宗でスけん。
あちしも宗教の時間は自習だナ。
聖書も読破したことはあるんでスけどねー。
一神教てのはどーもしっくりきません。
「葉っぱ一枚にも神様が宿ってる」
って言われる方が、あちしには合ってます。
おかげでうちの子の名前も・・・
伊邪那岐神から生まれた神様の名前を頂きまスた。
あはー。
あちしも宗教の時間は自習だナ。
聖書も読破したことはあるんでスけどねー。
一神教てのはどーもしっくりきません。
「葉っぱ一枚にも神様が宿ってる」
って言われる方が、あちしには合ってます。
おかげでうちの子の名前も・・・
伊邪那岐神から生まれた神様の名前を頂きまスた。
あはー。
- 2006-08-28
- 編集
[C1757] こんにちわ
>>氏神様の巫女をやっていたので・・
そうでしたか、じゃあこの祝詞は何度もお聞きになって、覚えてしまわれたでしょうね。
昭和天皇が勉強された「国史」は、白鳥庫吉氏が書かれたものを、milesta様がご紹介されていた出雲井晶氏が訳されて出版されています。
そうでしたか、じゃあこの祝詞は何度もお聞きになって、覚えてしまわれたでしょうね。
昭和天皇が勉強された「国史」は、白鳥庫吉氏が書かれたものを、milesta様がご紹介されていた出雲井晶氏が訳されて出版されています。
- 2007-01-28
- 編集
[C1759] >小楠さん
祝詞は自分で言えるほどには覚えてはおらず、聞くと「ああ、聞いたことがある」と思い出すくらいです。
出雲井さんは画家の活動だけでなく、神話や国史の啓蒙にもご活躍なんですね。
出雲井さんは画家の活動だけでなく、神話や国史の啓蒙にもご活躍なんですね。
- 2007-01-28
- 編集
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[T51] 太古からつづく役割
「古事記」上巻、「国生み」の章で、伊耶那岐命(イザナギノミコト)と伊耶那美命(イザナミノミコト)は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)ら高天原(たかまのはら)にお住まいになる神々に「くらげのようにゆらゆらただよっている国土を秩序ある姿にするように」と
- 2006-08-27
- 発信元 : Merge Voices
[T52] 「いっしょに震えあう」
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- 2006-08-27
- 発信元 : Merge Voices
[T76] おめでたきこと
紀子様無事親王御出産、なんともいへぬ嬉しいニュースだつた。男児であらうとは、(勝手に)確信してはゐたものの、やはりほつとする朗報だつた。取敢へず皇室典範改悪論議にはブレーキが掛かるだらうが、おそらく多くのメディアや「識者」がしたり顔で、「早晩『改悪』を
- 2006-09-07
- 発信元 : 福田 逸の備忘録―独断と偏見
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その感覚いいですね。
僕の母方のおばあちゃんは朝起きると四方におじぎしてました。
神様たちにあいさつしてたらしいです。
そんな感覚を大切にしたいものです。
ちなみに僕の職業は伝統とは全然関係ないですよ。