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『夢顔さんによろしく』 西木正明

夢顔さんによろしく 夢顔さんによろしく
西木 正明 (1999/07)
文藝春秋
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家系図で辿ると千三百年、伝説まで含めれば二千六百年も続いた家系のプリンスが、赴任先の上海で支那美人と出会う。これはハニートラップか大恋愛か・・・。まるで007の映画のような話だが実話である。主人公は近衛文隆。父親は近衛文麿元首相、先祖には藤原鎌足をいただく。

文隆-通称ボチは人間として、とても魅力的だ。人を寄せ付ける力を持っている。そこへきて「コノエ」の名を持ち、世界大戦のまっただ中を生きたのだから、人並みの人生になるはずがない。交流のあった人物の名前だけをみても、細川護貞、白州次郎、牛場友彦、尾崎秀実、リヒアルト・ゾルゲ・・・。あの頃、世界の歴史の表舞台には父親の文麿が、裏側には文隆がいたのである。

絵に描いたようなお坊ちゃんで人を疑うことを知らないために、主義主張や立場を超えた友情を育めた一方、騙されやすいという弱点もあった。
しかしお坊ちゃんだといっても、やることなすことが豪快で、ここぞという時にはキッパリと腹をくくる。

こんな愛すべきボチが留学先のアメリカで大いに遊び、上海では日支関係について考え、招集されてからは一般人と同じ扱いを受け、ついにはロシアに抑留されてしまう。

話の山場はいくつかあり、冒頭に紹介した上海での出来事にも「まるで映画のようだ。」と驚くが、私が興味深かったのはロシアに抑留されてからのことである。ロシアとは本当に恐ろしい国だ。戦争末期になってから参戦し対日戦での被害はほとんどなかった。それなのに戦利品は出来るだけたくさん欲しい。その大義名分を見つけるためだけに「コノエ」は抑留されていたのだ。そしてロシアの文隆に対する仕打ちは許し難いものである。しかし文隆は名家の名を汚すことのない「コノエ」の嫡男であり続けた。

題名の「夢顔さん」とは誰か?それが最後まで証されない。うすうす誰のことかはわかるのだが、なぜ「夢顔さん」という名前なのか?
この謎解きも含めて、先が気になり一気に読んでしまいたくなる本だ。歴史の狭間に埋もれていた近衛文隆という人物に目をつけ、事実を調べ上げ、このような手に汗握るストーリーに仕立てた作者に拍手を送りたい。
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『絵本からうまれたおいしいレシピ』

e mook『絵本からうまれたおいしいレシピ ~絵本とお菓子の幸せな関係~』 e mook『絵本からうまれたおいしいレシピ ~絵本とお菓子の幸せな関係~』
きむら かよ、晶子 他 (2005/04/28)
宝島社
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90歳になる祖母から小包が届いた。中から出てきたのがこの本。祖母と一緒に住む叔母が選んでくれたに違いない。私が小学生だった頃に、この叔母が『赤毛のアン』をプレゼントしてくれたことを思い出した。『赤毛のアン』には、その頃の日本にはないようなおいしそうなお菓子や飲み物がたくさん登場するので、想像力をかき立てられながら夢中になって読んだものだ。

私の子供達が気に入る絵本も、おいしいものが出てくることが多い。だから『絵本からうまれたおいしいレシピ』を見た途端、子供達が駆け寄ってきた。
「うわぁ『からすのぱんやさん』だぁ。私はコレとコレ!」
「『うーふ』はやっぱり目玉焼きだ。」
「『11ぴきのねこ』のコロッケおいしそう。今度作ってね。」
まぁ見事に我が家に無い本を探すのが大変なほどである。

遠い日本から渡ってきた本が、我が家のツボにはまって親子揃って大喜び。しかも送り主が子供達自慢のひいおばあちゃんなのだからなおさら嬉しい。子供達はひいおばあちゃんのことを学校でこう自慢しているらしい。「私にはひいおばあちゃんがいるのよ。しかもエリザベス女王より10歳も年上よ~。」

おばあちゃ~ん、ありがとう。
これからも元気で長生きしてね~。






『わすれられないおくりもの』 スーザン・バーレイ

わすれられないおくりもの わすれられないおくりもの
スーザン・バーレイ (1986/10)
評論社
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数週間前に、とても悲しい出来事があった。友人のご主人が突然病気で亡くなってしまったのだ。40代前半という若さで、小学校入学前の子供二人を残して。その一ヶ月ほど前、ご主人の職場を訪れ言葉を交わした私には全く信じられず、友人の顔を見た途端に涙が止まらなくなってしまった。しかし彼女は強い人で、私を安心させるように「でもラッキーだったのは、子供が2人いたことよ。」と言った。

幼い子供達を一人で育てていかねばならない彼女に何と言ったらよいのか、何か手伝えることはないか、そんなことばかりを考えていたが、ふと「ご主人は『わすれられないおくりもの』をたくさん残してくれたはずだ。それを子供達に伝えていくことが、亡くなったご主人と彼女と子供達の絆を深めることになる。」と思い、少し落ち着いたらこの絵本を彼女に贈ろうと決めた。

私自身も、父が亡くなり空しさに覆われていた時、この絵本に救われたのだった。年老いたアナグマが亡くなり、残されたみんなはひとしきり悲しんだ後でアナグマの思い出を語る。そして気づく。みんなの生活の中にはアナグマが教えてくれた知恵や技術が残っているじゃないかと。考えてみると父は私に多くのことを教えてくれた。生きていく上での指針となるようなことは、父から学んだことばかりである。まだまだ私の子供達に教えて欲しいことがいっぱいあったのに・・・と思っていたが、私がその役目を果たす番だと気がついた。

誰かから教わったことを自分のものとして会得し、次にまた誰かに教えていく。こうして家風とか伝統というものができていく。何とすばらしいことだろう。

お葬式では、故人の義弟がこうスピーチしていた。
「亡くなったのは体だけなのです。心はみんなの中に生きているのです。」

『台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸を張りなさい』 蔡 焜燦

台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい 台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい
蔡 焜燦 (2001/08)
小学館
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私には歳が同じ台湾人の友人がいる。彼女リンのことを慕う人は多く、皆から信頼されている。なぜなら他人を思いやる心に溢れ、困った人がいると真っ先に手をさしのべるのはいつも彼女だから。そして礼儀正しく、家族を大切にし、子供の躾や教育にはきちんとした考えを持っている。また台湾の文化を愛しており、年中行事や習慣のことに詳しく話題が豊富なのである。

こんなリンを見ていると、いつも懐かしいような感情がわいてくる。この懐かしさの理由が、この本を読んで少しわかったような気がする。古き良き日本の精神が彼女の中に息づいているのだ。

日本統治時代に、台湾に広く行き渡った日本精神。これは日本からやってきた教育の賜だと著者は言う。識字率を高め、道徳を学び、特に中国にはない「公」という観念を身につけたことが戦後の台湾発展に繋がったと。そしてそんな日本精神のすばらしさを忘れてしまっている現在の日本に「胸を張りなさい」と叱咤激励している。リンのように統治時代を知らない世代の中にも日本精神が垣間見られる台湾からすると、今の日本はなんとだらけて見えることだろう。

ところで、この本を読んでいる最中にリンから「その本の中国語版はないの?」と聞かれた。台湾では学校教育は中国の指導下で行われているので、日本は悪いと教わるそうだ。しかしリンは疑問を持っていたという。祖父は日本統治時代に生きた人で立派な人だったのでリンは大変尊敬していた。祖父に統治時代の話を聞きたいが、祖父の母語は日本語なのでリンとはあまり会話が出来ずに叶わなかったそうである。

そこで翻訳版を捜してみたがないようだったので、自分は未読だったが小林よしのり氏の『台湾論』の北京語版をプレゼントした。台湾本国では発禁になったが、オーストラリアではまだ入手できたのだ。
リンの感想は
「李登輝への思い入れが強すぎることを除けば、非常に中立で良い本だと思う。父親の世代から統治者が日本から中国(国民党)にかわり中国寄りの教育しか受けていないから、この本に書いてあることは自分の国の歴史にもかかわらず、台湾人のほとんどが知らない。」

リンとの一連のやりとりから、台湾=親日という図式を鵜呑みにして甘んじていてはならないという気がした。確かに、統治時代を知る人たちは親日で日本との交流も盛んであろう。しかしその世代と今の世代では、言葉の壁や教育内容の違いからくる断絶がある。今の若い台湾人の「親日」はアニメや音楽を通じたもので、決して「日本精神」に共感を示しているものではない、非常に底の浅い物ではないか。しかも日本側でも「日本精神」が消えつつあるとすると、台湾との兄弟のような関係はどうなってしまうのだろう・・・と寂しく思うのである。


※後日確認したところ、祖父は日本語と台湾語、父親の代は台湾語を喋り北京語は使わず、リンの世代は学校で北京語を習っていて台湾語はあまり得意ではないそうです。その為、祖父とだけでなく、両親との会話にも苦労する場合があるようです。五年ほど前から、学校でも台湾語を教えるようになったとのことです。(平成19年1月9日追記)

『ぐるんぱのようちえん』 西内ミナミ・堀内誠一 

ぐるんぱのようちえん ぐるんぱのようちえん
西内 ミナミ、堀内 誠一 他 (1966/12)
福音館書店
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物心ついて一番最初に好きになった本が『ぐるんぱのようちえん』。

遊び暮らしていたぞうのぐるんぱが、仲間に促されて働きに行く。
まずは「びすけっとやのびーさん」のところ。でも作ったびすけっとが大きすぎて「もうけっこう」といわれちゃう。
どこの職場でも作る物が大きすぎてすぐに「もうけっこう」。そしてしょんぼり、しょんぼりと大きすぎる物を抱えて出ていく。ほんとうにしょんぼりしたぐるんぱの様子を見ると、大人になった今でも涙が出そうになる。

だけど最後は幼稚園を開いて子供達の人気者に。良かったね~ぐるんぱ!
何と言ってもこの幼稚園がすばらしくて、幼稚園児だった私は絵本の中の子供達が羨ましくてたまらなかった。どうしたらぐるんばのようちえんに通えるのかなぁ?と必死に考えながら最後のページをずーっと見つめていたものだ。
だって、ぐるんぱがすべり台になってくれて鼻を滑り降りると巨大お皿のプールにぼちゃん!そのお皿の縁をテーブルにしてビスケットを食べている子供達。大きな靴でかくれんぼ。

あ~行ってみたい「ぐるんぱのようちえん」。

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