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『仏像のひみつ』 山本 勉

仏像のひみつ仏像のひみつ
(2006/05/27)
山本 勉

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「修学旅行の時に仏像について調べたことがある。」というような人には、この本はあまりお薦めしない。なぜなら、本当に仏像のことを何も知らない人にぴったりの、基礎の基礎が書かれている本だからだ。

国立東京博物館に勤務していらした著者は、この本の基となる展示を、子供対象と想定して企画されたらしい。しかし意外にも大人にも好評だったという。私も、もしその展示を観ていたら、好評を述べた一人になっていただろう。なにしろ修学旅行では、夜何時まで起きていられるかとか、どこで何のお土産を買うかということに忙しくて、仏像の基礎について調べている余裕がなかった。(笑)だけど、大人になってからこんなことも知らないなんて誰にも言えない。・・・と思っていたが、実は多くの人が知らなかったからこそ、大人にも好評だったのであろう。少しほっとした。

その展示をご覧になった方の声がきっかけとなり、この本が作られたそうだ。だから、大人でも知っていそうで知らない「仏像のひみつ」がたくさん載っている。

たとえば、仏像は様々な手の形があるが、手のひらを正面に向け立てているのはどういう意味なのか。では「願いを叶えてあげる」という意味を表す手の形は、どんなものか。
たとえば、如来の特徴として、舌の大きさはどのくらいか、おでこの丸いほくろみたいなものは何なのか。
たとえば、なぜ菩薩の方が如来よりもアクセサリーをたくさん付けていておしゃれなのか。

この本には、それらの「ひみつ」が、わかりやすいイラスト入りで紹介されている。文章も子供向けなので、とても読みやすい。難しい仏教用語もほとんどない。

個人的に最もためになったのは、「仏像のソシキ(組織)」について、すっきりと体系づけて教えてもらったことだ。仏像にも、人の社会のようなピラミッド型の組織があり、頂点に立つのは如来、次が菩薩、そして明王、天となる。そして、菩薩の中にも観音様とか文殊様とかいろいろあって・・・と、ああ本当にすっきりした、というさわやかな読後感だ。

ちょっとした豆知識みたいなところにも味があって、私が特に好きなのは、「お釈迦様の人生名シーン」の一コマ、お母様である摩耶夫人の脇の下からお生まれになったところを表現した仏像の写真である。摩耶夫人が横に伸ばした右手の袖の下から、小さな小さなお釈迦様の上半身がぴょこんと出ている姿を見たとき、おかしいような、かわいいような、有り難いような、こんな仏像もあるのか!となぜか嬉しくなってしまった。

気軽に読める本なのに、専門知識に裏打ちされているというところも安心できる。著者の山本勉氏は、国立東京博物館に20年以上も勤めていらしたそうで、ご専門は日本彫刻史だそうだ。専門知識がありながら、それを素人にもわかるレベルにぐんと落とし込んで解説してくださるのは、こうした経歴の賜だろう。
最近の博物館は、いろいろと工夫がされていて、予備知識がなくても楽しめるようによくできている。その傾向が書物にまで及んでいることを感じた。


※仏像鑑賞を楽しむおもしろ本としては、みうらじゅんさんの『見仏記』が有名ですが、みうらさんがかなりの見巧者なので、全く知識のない方はこちらの『仏像のひみつ』を先に読まれた方がより楽しめるかもしれません。
 


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『少年少女 ふろくコレクション―痛快懐かし付録満載』 中村 圭子、 他

少年少女 ふろくコレクション―痛快懐かし付録満載 少年少女 ふろくコレクション―痛快懐かし付録満載
中村 圭子、 他 (1996/08)
芸神出版社
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まだ若かりし日のことであるが、少ない予算でちょっとした景品を作るという仕事に関わったことがある。いくつかの会社がアイデアを持ち寄った。誰もが知っている大手広告代理店二社も含まれていたのだが、群を抜いて安くて魅力的な景品を提案してきたのは、普段は主に雑誌のふろくを企画している会社だった。

ちょうど日本に滞在していたとき、弥生美術館で雑誌のふろくを展示していると知り、これは見逃せないと、子供たちを誘って見に行った。以前の経験があるので、雑誌のふろくはあなどれないとは思っていたのだが、予想以上におもしろく、帰りに売店でこの本を衝動買いしてしまった。

展示には、大正の頃から最近までの少年・少女向け雑誌のふろくが、所狭しと並んでいた。私がおぼろげながら見覚えがあって何となく「懐かしい」と感じるのは、先日亡くなられた内藤ルネさんのイラストくらいまでで、中原淳一の絵までいくともう自分の領域ではない。しかし、この自分の領域でない時代に、格調高く、精巧なふろくが勢揃いしていたのだった。

館内で最も目を引くのが、「軍艦三笠の大模型」。ふろくとは思えない大きさで、もしも学習机やちゃぶ台に載せたら、もう勉強や食事は一切出来なくなるほどである。大きいだけでなく、細部まで精巧に出来ている。この本によれば、A3版六枚を含む八枚の紙から組み立てるようになっていたそうだ。紙細工でここまで組み立てるのはずいぶん根気がいることだろう。昭和七年一月号のふろくであると書かれているから、テレビやゲームなどの娯楽がない時代である。このようなものを組み立てる時間はたっぷりとあり、また子供も望んでいたのだろう。同時期には、他にも「エンパイア・ビルディング」、「動き出す人造人間」など、大掛かりな組み立てふろくが幾つも見られる。

また平面であったり、小さなものでも、絵も内容も格調高い。すごろく一つとっても「豊臣秀吉出世双六」「源頼光鬼退治双六」など歴史上の人物が描かれていたりして子供の知的好奇心を喚起する工夫が施されている。

この昭和初期は、「第一次ふろく黄金期」と呼ばれているそうで、戦争激化直前の昭和十五年まで続いたという。

私が実際に貰えるとしたら・・・やはり少女雑誌のふろくに惹かれる。
中原淳一のイラストが描かれた「啄木かるた」は、石川啄木の短歌が上の句と下の句に分けられて、かるたとりができるようになっている。
「隣組かるた」のかわいらしくてユーモラスな絵に惹かれ、遊び方を読んでみると、「組長の札を持った人が『今日は勤労奉仕の日です』と言ったら、全員『勤労奉仕係』の札を裏返しに重ね、別な札を出して見破られたら、たまっていた札を全部出さなければならない。」などという、時代を感じさせてくれるルールになっている。

時代といえば、ふろくを年代順に並べると、時代を視覚的に捉えることができる。大正時代はまだ江戸時代を連想させるような図柄が多く、昭和にはいると、立身出世の物語や戦闘機、軍艦などの模型が増える。戦争が終われば、ガラリと変わり、アメリカへの憧れから、電化製品を模した動きのあるもの、女の子向けには洋装で金髪のキャラクターやおしゃれ小物が人気になる。テレビが普及すれば、アイドルがふろくに登場する。

そんな流れを経てすっかり様変わりした現代では、想像もつかないだろうが、昭和四年の『少女倶楽部』のふろくに『明治天皇御製繪巻』というのがあった。
今日は明治節(明治天皇の御誕生日)なので、どのような御製が載っていたか、四十四首のうち二首だけであるが紹介しよう。

しるべする人なかりせばいかにして 我がこころざす道にいるべき

たらちねのおやの教をまもる子は まなびの道もまどはざるらむ


どちらも、子供の歩んでいく人生を良き方へと導いてくれるものについて、詠まれている。一首目は「師」、二首目は「親」。これが今のふろくについていたら、師や親である私たち大人の方が、襟を正さなければならないような御製である。

「昔のふろくは素敵だったのね。憧れちゃうわ・・・。」と思いながら、弥生美術館に隣接している竹久夢二美術館に入ると、そこに夢二の言葉が飾ってあった。「早く昔になればよい。」

弥生美術館の「ふろくのミリョク展」は、12月24日(月・祝)まで開催しているようです。ご興味がある方、お近くの方は、本よりも実物をご覧になることをお薦めします。





『昔のくらしの道具事典』 小林 克

昔のくらしの道具事典 昔のくらしの道具事典
小林 克 (2004/03)
岩崎書店
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以前『親子三代で楽しめる感動の物語』という本を採り上げたが、こちらは親子三代もしくは四代で楽しめる事典である。

暮らしに密着した昔の道具が、「台所の道具」「食卓の道具」「水回りの道具」「住まいの道具」「夏の道具、冬の道具」「畑仕事の道具」の各章に分けられ、九十点以上紹介してある。

見開きページの真ん中に大きく道具の写真。周りには、いつ頃の道具なのか、その道具の使い方、時代を経てどのような道具に変わってきたのかが、イラストや写真入りで説明されている。その道具の名前を用いたことわざなどが「道具と言葉」として紹介されている場合もあり、これもなかなか興味深い。一例を挙げると「ちゃぶ台」のページには「ちゃぶ台をひっくり返す」が採り上げられており、怒った顔のお父さんが食事中のちゃぶ台をひっくり返している小さな絵が添えられている。

ひと昔前の日本のがんこ親父といえば、怒るとちゃぶ台をひっくり返すイメージがありました。怒りを爆発させ、食事ののったちゃぶ台をひっくり返すのです。漫画にもよく描かれました。

というまじめな説明文に思わずクスリと笑ってしまう。

「昔」の範囲は江戸時代から昭和までなので、実物を見たことがないようなものから、子供の頃によく使っていた懐かしいもの、今でも現役のものまで、さまざまな道具が載っている。

子供の頃は馴染み深かったのに、最近は見かけない物が数多くある。
「かつお節削り」を見ると、引き出しを開けてちびたかつお節は入っていないかと捜したくなる。もう削れなくなった小さなかつお節のかけらは私の大好きなおやつだったから。
「足踏みミシン」では、よくベルトが外れて空回りしたことを思い出す。
「蚊取器・蚊取り線香」は夏の風物詩。幼少の頃の夏といえば、蚊取り線香の匂いと波の音に等間隔で部屋まで差し込む灯台の光・・・。
そういえば一緒に暮らしていたひいおばあちゃんともう一人の親戚のおばあさんは、いつも「火鉢」のそばに座っていた。

こんな思い出話を子供達にすると、「いいなぁ、お母さんの時代に生まれたかったな。面白い物がいっぱいあっていいなぁ。」と言う。
特に「五右衛門風呂」のページの「関東は鉄砲風呂」という解説文に描かれた、船のような形のお風呂に入っていたと言うと、とても羨ましがる。上がり湯と温度調節の水を入れる小箱のような場所がついていて、煙突も立っている。確かに子供心をくすぐる造りだ。あのお風呂は、地面の高さに置いてあって、子供が出入りするのは大変なのだが、ただの四角い風呂釜に換わったときは、残念な思いでいっぱいだったことを思い出す。

この本を親子四代で眺めておしゃべりしたら、さぞかし楽しいだろう。母は「衣こう・乱れ箱」を愛用していたし、掃除機の時代になっても畳の目は「ざしきぼうき」で掃いていた。祖母は洗い張り用の「張り板」を知っているだろう。「火打ち箱」まではちょっと無理だろうか。

コラムのページには、前回紹介した「付喪神」や、「捨てる物の少ない生活」と題して「いかけ屋」やうつわ持参で買い物をする習慣などが載っている。
道具のページもよく見れば、ぼろ布から作った「ぞうきん」に「はたき」、「湯たんぽ」のお湯は朝の洗顔に再利用することなど、昔の物を大事にしていた様子が、そこここに出てくる。

親や祖父母、曾祖父母の世代がこの本を手にしたら、「懐かしい」という感情で満たされるだろう。それを「懐かしい」だけで留めておかず、子供や孫にも伝えて欲しい。家族の会話が増え、それと同時に物を大切にする精神を次の世代に教えることができる。道具は進化しても、この精神は後世に残していきたいものである。

『恐竜』 冨田 幸光、舟木 嘉浩 他

恐竜 恐竜
冨田 幸光、舟木 嘉浩 他 (2002/06)
小学館
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オーストラリアの総合学習は学期ごとにテーマが変わる。下の子の先学期のテーマは『恐竜』。偶然にも休暇中にこの本を買っていたので、とても良いタイミングで恐竜に興味が持てた。そのうえ更に心強い味方があった。「STUDIO D’ARTE CORVO」-corvoさんのHPである。

そもそも、この図鑑を見つけたのには、次のような経緯がある。
①私がブログを始める。
②失敗だらけだフニャさんがコメントをくださるようになる。
③フニャさんのブログにお邪魔するようになる。
④フニャさんのブログにcorvoさんのサイトが紹介される。
⑤corvoさんの描かれる恐竜の絵に釘付けになる。
⑥子供達も釘付けになる。
corvoさんの描かれた絵が図鑑に載っていると知り購入。
という具合だ。

corvoさんのブログには、化石の発掘のレポートや、恐竜の学会に参加された模様や、図鑑用の絵の制作状況がつぶさに書かれている。図鑑とこのブログで、子供達も私もすっかり恐竜好きになってしまった。

図鑑の絵というのは、こんなに手間がかかり、繊細な筆致で描かれているとは、これまで恥ずかしながら知らなかった。学術的な考証も大事で、この種類の恐竜にはこういう姿勢は無理があるとか、この時代には背景にどんな植物を描けばよいなど、気を使わなければならないところがいくつもあるそうだ。
このようなお仕事をされているcorvoさんは、どんなに恐竜がお好きなのかと思えば、「恐竜が特に好きなわけではない。」と仰る。それなのに、あのこだわり、作業の緻密さ・・・プロの仕事とはこういうものだと感心することばかり。

この図鑑は、こちらの学校の先生にも評判が良く、「こういう図表が欲しかったのよ。」「ここを英語に訳してくれない?」と、授業に何度か使われた。

総合学習では、恐竜の生態を学ぶだけでなく、恐竜の絵を描き、恐竜の歌を歌い、恐竜の映画を観る。“dinosaur(恐竜)”“volcano(火山)”などの単語も覚え、恐竜の出てくるお話をつくる。けれども教えられるのは全部英語だから、
「お母さん、人間も恐竜が噴火したものなの?」
などと訳の解らない質問をしてくる。よくよく聞いてみると「噴火」ではなく「進化」と言いたかったらしい。
この図鑑で、日本語で何と言うか勉強しなくちゃね。

『大むかしの生物』 日本古生物学会

大むかしの生物 大むかしの生物
日本古生物学会 (2004/11)
小学館
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「アノマロカリス」、これが表紙を飾る不思議な生き物の名前だ。私には、いつの時代の何の仲間かもわからない。そう言えば「大昔の生物」と聞いて思い浮かぶのは、三葉虫、アンモナイト、恐竜、マンモスくらいだ。子供が「カエルの先祖ってどんなかな?」と言い出して購入したこの本には、知らない生き物がたくさん載っていて、「へぇこんな生き物がいたんだねぇ。」と、子供たちと共に驚きの声を上げている。

「アノマロカリス」は魚類が出現するかどうかの古い時代の生き物で、正体不明という感じがするが、「モスコプス」は妙に親しみを感じる姿だ。こちらも今までに一度も見たことがない生き物だ。恐竜のようだが、頭はつるっと丸くて優しげな顔つき。手足も地面にぺたんとついて、恐竜のように前足を上げて襲ってくることはなさそうだ。調べれば、恐竜とは違う「単弓類」だという。

学校では確か、両生類から爬虫類ができて、爬虫類から哺乳類が分かれたと習った。しかし新しい学説によると、哺乳類の元となったのはこの「単弓類」で、「双弓類」の爬虫類や恐竜とは系列が違うようなのだ。私と同世代の人達は、もうこの事実をご存じなのだろうか?私だけが知らなかったのかもしれない。「こんな大事なことを何で誰も教えてくれなかったの?」という気分だ。この図鑑を読んでみて良かった。

哺乳類が出現してからも、知らない生物がたくさんいて非常に興味深い。
一角獣なんて、おとぎの国の動物だと思っていたが、「ツァイダモテリウム」はまるで一角獣だ。なぜ右側の角だけ大きくなったのだろう?
「クジラの先祖」と書いてある「パキケトゥス」は、「オオカミの先祖」の間違いじゃないの?と思ってしまうような完璧な四つ脚動物だ。(→※追記参照)

こうしていると次から次へと紹介したくなるので、この辺でやめておこう。そして、新しい発見を求めて図鑑を見る時間としよう。


※追記
この図鑑のイラストも描いていらっしゃるcorvoさんから次のような、コメントを頂きました。
「パキケトゥスの姿勢は、まだ議論の余地があるようです。今年のSVPで発表がありました。」
corvoさん、ありがとうございます。

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