Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

“Sashiko: Easy & Elegant Designs for Decorative Machine Embroidery” Mary S. Parker

Sashiko: Easy & Elegant Designs for Decorative Machine Embroidery Sashiko: Easy & Elegant Designs for Decorative Machine Embroidery
Mary S. Parker (2002/02)
Lark Books
この商品の詳細を見る


オーストラリアのクラフトグループ(手芸の集まり)で、刺し子をしていると、「あら、それは何?」とか「糸はキャンドルウィックかしら?」などと話しかけてくる人がいる。それで話が弾んだり、ロウソクの芯(candlewick)を使った刺繍の方法を教えて貰ったりしてなかなか楽しい。
外国人から見ると、紺と白でシンプルな幾何学模様が続く刺し子は、さぞかしエキゾチックで興味深いのだろう。私自身も、参考にしようと図書館から借りた本書を見て、様々な紋様にすっかり魅せられてしまった。
この本は、日本の「刺し子」を英語で紹介した本である。アメリカの手芸家の手によるものだが、内容は充実していて、私もこの本から学んだことがたくさんある。

赤ちゃんの産着に使う「麻の葉」や「亀甲」「矢羽」くらいは知っていたが、紋様も名前も知らなかったり、見たことがあったが名前は知らなかった紋様など、実に百を超える紋様が紹介されている。
「格子」「籠目」「分銅」「網目」のような日常生活から生まれたらしい紋様もあれば、「竹」「藤」「桜」「柿の花」「紫陽花」などの植物の柄は数え切れないほどあり、その他にも「千鳥」「鱗」「雷」「青海波(せいがいは)」「野分」など自然の文物を抽象化したものが多い。ちなみに、本書の表紙には「稲光」の作品が使われている。

個々の紋様に添えられた解説も詳しく、例えば「石車」については、
・「石車」の中心は「卍(まんじ)=仏教徒の十字架」の紋様を表している。
・ブロックを組み合わせた形は「平組卍」にも見られる。
・奈良時代と平安時代には、このような格子模様をベースにした柄の着物は身分の高い人たちかが着ており、身分の低い人や平民が使うことは禁じられていた。
・しかし江戸時代には格子模様を使う事への規則はゆるくなる。
のように、技術的な面と歴史的な面からの説明が書かれている。

これとは別に、刺し子と日本の着物の紋様についての歴史が、巻頭に六ページにもわたって書かれている。以下、興味深い点をいくつか採り上げてみよう。

刺し子は、元々下層階級の衣服の繕い物や強化に使われていた。漁師は膝をついて網を引くので、膝から臑にかけては布を何枚も重ねてチクチクと縫い厚くしていた。農民は肥料や何かを天秤で肩に担いで運ぶので、肩の辺りの布を重ねた。それらの重ね縫いが、刺し子の元の姿である。

江戸時代には、全体を刺し子で刺した服を着ている町人たちがいた。「火消し」である。火事の時は刺し子の半纏を水にくぐらせて羽織り、火の中に飛び込んでいく。しかし面白いことに、仕事の時は裏表逆さに羽織り、美しい表側が汚れたり焦げたりするのを避ける。普段は精巧な表側の刺し子柄を見せて、誇らしげに歩くのが粋だったからだ。

大正時代から昭和にかけて工業化が進み、繕い物の技術や刺し子への関心は薄まる。しかし1970年代から刺し子は趣味として、見直され始めた。

現存する最古の刺し子は正倉院にあるもので、僧侶が着ていたものが、聖武天皇の手に渡ったものだと言われている。

日本の着物の柄についての歴史にも触れており、その中に葛飾北斎の名を見つけた。北斎と言えば、富士山の浮世絵で有名だが、デザイナーのような仕事もしていたのだ。葛飾北斎の『新形小紋帳』に描かれた紋様は、モダンなデザインとして流行となり、着物の柄だけでなく、刺し子にも取り入れられたそうだ。

この本には作品やその作り方も載っているが、ミシンを使っていたりして、少し興ざめだ。しかし、それ以外の部分は、刺し子の伝統を愛する手芸家の熱意が伝わってくるすばらしい本である。庶民的な縫い物である刺し子も、このような立派な文化だと気づかせて貰うことが出来た。



スポンサーサイト

『おしゃべり12ヵ月』 杉浦 さやか

おしゃべり12ヵ月 おしゃべり12ヵ月
杉浦 さやか (2003/07)
大和書房
この商品の詳細を見る


オーストラリアでは入学式や進級は1月で、今は秋。この生活を何年か続けているけれど、私の心の中では、学校は4月からで春にいろいろと新しいことが始まるという感覚が未だに抜けない。

この本のスタートはやはり春から。始まりは3月だが、1年を春・夏・秋・冬の四季に分けた章立てでは3月から春になるのだろう。
それぞれの章がさらに月ごとに分けられており、それぞれの季節を味わう生活の工夫を、杉浦さんのかわいらしく清潔感溢れるイラストを中心に提案している。

例えば4月。「切り花を楽しむ」「花をおくる」「お花見に行こう」「さくら」「イースター」などのテーマで、その楽しみ方のちょっとしたコツが書かれている。
「さくら」のコーナーには、「お花見のはじまり」というミニ知識や「桜の塩漬け」の作り方やそれを使ったお料理のアイデアが書かれている。
「切り花を楽しむ」には、花を長持ちさせるコツが三コマのかわいらしいイラストでわかりやすく描かれ、飾り方のコツも気負ったものではなく、牛乳瓶に赤と白の薔薇を一輪ずつ差してみるとか、余った葉っぱをコップに差してみるなど、誰もが簡単にできることばかりだ。

このように、クッキングのレシピやガーデニングや手芸のことなどは皆メモ程度に書いてあるのだが、イラストが添えられているのでわかりやすいし、気軽に「これやってみようかな?」と思えるものばかりだ。

「風呂敷」「千代紙」「縁日の夜店」「ゆず湯」「お月見」「こけし」などの和のものがたくさん採り上げられている一方で、外国の行事やお菓子やインテリアも多く紹介されている。

月ごとのページの合間に、映画のこと、外国旅行のこと、日本国内の旅行や散歩のことも、こまごまと描かれていて、杉浦さんはこういうところにアンテナを広げて、生活センスを養っているのだということがわかる。

眺めるだけでも、じっくり読んでも、実践しても、心がちょっぴり豊かになる。春夏秋冬この一冊に支えられながら、地味な主婦業をがんばっていこう!

『毎日を楽しく彩る折り紙―指先から伝わるぬくもりのインテリア』 日本折紙協会

毎日を楽しく彩る折り紙―指先から伝わるぬくもりのインテリア 毎日を楽しく彩る折り紙―指先から伝わるぬくもりのインテリア
日本折紙協会 (2001/10)
永岡書店
この商品の詳細を見る


「外国に行ったら日本の文化を知らないと恥ずかしい。」と言われるが、私たち庶民の外国暮らしでは、普段の生活で歌舞伎や茶の湯について質問されたりすることはほとんどない。知っておいて一番役立つ日本文化は、折り紙である。
“ORIGAMI”は、そのまま英語にもなっていて、本屋さんや図書館に行けば、“ORIGAMI”という題名のついた本が何冊か並んでいる。
ところが実際に折り紙を教えてみると、子供はもちろん大人でも、紙を半分にきちんと折るということの出来ない人が多い。ある幼稚園で折り紙を教えたときは、長方形の紙しかなく、先生に正方形に切って欲しいと頼んだ。縦にしたり横にしたり、矯めつ眇めつした後に「どうやって正方形にするの?」と聞かれたのには腰を抜かすほど驚いた。幼稚園の先生なのに正方形の紙が作れない!?
そんな有様なので、折り紙でささっと奴さんが折れるだけで「ラブリー!」、袴まで付けると「ゴージャス!!」と言われる。

私自身は、折り紙でも実用的なものを折るのが好きで、小さい頃から箱とか財布などを好んで作っていた。折り紙を教えるにしても、大人はこういうものを喜ぶのではないかと思い、日本からこの本を選んで持ってきた。この選択は大正解だった。但し、喜んだのはオーストラリア人でなく、私だった。

まず最初に役立ったのが、ご祝儀袋。日本人の知人の慶事があったが、こちらではご祝儀袋など売っていない。そこで、この本に載っていた鶴の形のご祝儀袋を折ることにした。本当は和紙で折ると素敵なのだが、それも当然入手できないので、ふつうのコピー用紙を使った。それでも折り上がってみれば、コピー用紙だったとはわからない立派なものになった。これを贈った知人もたいそう感心してくださった。

それから、子供が学校で手作りの帽子を被ってパレードをする事になったとき、ミッキーマウスのように耳のピョンと飛び出た帽子を折っていった。これは友達にも先生方にも好評だったようで、子供は「帽子を褒められたよ。」と喜んでいた。

また、時々戸外でピクニックをやるのだが、終わる時間が決まっておらず、持ち寄った料理をそのまま置いて帰ってくることがある。そんな時に、カレンダーの紙を使ってカゴやトレイを折って、それに載せて持っていく。食器を持ち帰る心配をしなくて良いし、焚き火をしている時は、最後にそのまま燃やしてもらえば良い。

当初はオーストラリアの人達に教えてあげようと思って選んだ本だけれど、オーストラリア人には難しすぎた。その代わり私には重宝だった。
実用的なだけでなく、紙の材質や色を選ぶと、洗練された美しいものができる。日本に住んでいれば、もっと楽しめるだろう。そういえば、日本の紙の質、種類の豊富さは、すばらしい。日本に住んでいる時には気づかなかったけれど、「日本の紙」は世界に誇れるものの一つだと感じている。


『絵てがみブック』 杉浦さやか

絵てがみブック 絵てがみブック
杉浦 さやか (2002/04)
角川書店
この商品の詳細を見る


生まれ育った東京から北海道に行くことになって祖母に「もう会えないのね。」と泣かれてしまった私は、どうにかして安心させなくちゃと思い、北海道での出来事を手紙に書くことにした。

ところが予想外のことが起こった。北海道には、東京人が見たこともない物や、やったことがないことが多くて、説明が難しい。例えば雪かきの様子は、その服装や道具、シャベルの持ち方のコツ、どこにどのように雪をなげるか(捨てるか)など、どれをとっても言葉では表しにくい。まだデジカメの時代でもなくイラストでの説明が必要だった。ところが私は絵が大の苦手。それでも描いて伝えなくちゃ!と思うようなカルチャーショックが次々と起こり、月に1回は絵手紙を描いた。時間をかけて苦労して描くので、祖母だけに送るのは勿体ないとコピーを友人達にも送っていた。

何年か経って、この『絵てがみブック』を発見し、あの時この本が手元にあったらなぁと思った。
絵心ゼロの私にもわかりやすく、最初に紙や画材の説明がかわいらしいイラストで描かれている。へぇ、プロの人はこんなに道具を使い分けているんだね。そして、どんなことをどんな風に描くかの例・アイデアがたくさん載っている。

杉浦さんの個性が、とても私の好みに合っているところがいい。イラストがシンプルで、いろいろなことを説明するのにはぴったりだし、杉浦さんの“描きたい”と思うことと私の興味の対象が似ている。
この本の中に「巣鴨とげ抜き地蔵(通称おばあちゃんの原宿)のカッコイイおばあちゃん」が描かれていたが、私も「○○町のベストドレッサー(おばあちゃん部門)」という企画でおしゃれなおばあちゃんを採り上げた。
他の著書にはベトナムでへんてこな雑貨を探し歩いたと書いてあったが、私もタイで友人と「へんてこな雑貨探し競争」をした。
描きたいと思う物は同じなのに、イラストの出来はなぜこんなに違うのだろう。

下手な絵だったけど、絵手紙を描いていて良かったと思う。
一つには、送った相手が喜んでくれたこと。デジカメとパソコンで手紙を書くようになってからも「あの手描きの手紙、良かったよね~。」と友人に言われることがある。下手でも心を込めれば伝わるんだ!
もう一つは、絵手紙に描くぞ!と思うと、何にでも興味が沸き、よく観察したり味わったりするようになる。正直言って都会暮らしに慣れていると、北海道での暮らしは不便だし、寒いし、退屈だ。それでも「違いを楽しむ」ということに徹すると、あれあれ不思議、北海道の生活は、自然が身近にあり、地域社会が機能していて、おいしいものを堪能できる魅力的な暮らしに一転する。

「絵手紙」というと、野菜や花や風景を筆でさらさらと描き、気の利いた一言を墨で書いて・・・というのが思い浮かぶけれど、題材も画材も紙も画風も本当は自由。この本を覗いたら、それがわかる。私だってコピー用箋と鉛筆とサインペンだけで描いていた。絵手紙は楽しい!

 

Appendix

本のブログ

にほんブログ村 本ブログへ

プロフィール

milesta

Author:milesta
◇これまでに紹介した本の一覧は下の「全タイトルを表示」の文字をクリックすると、ご覧になれます。
◇コメントとTBは承認制にしました。
◇記事に関係がなかったり、このサイトにふさわしくないコメントやTBは削除することもあります。

全記事(数)表示

全タイトルを表示

最近の記事+コメント

カテゴリー表示

ブログ内検索

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。